〇〇な話(前編)

 今だからやっと書ける、『覚悟を決めた話』です。
 いっくんが生まれた当初は、ただ超低体重なだけで、只々成長していくものだと信じておりました。私は、今思えば妙にハイテンションで、産後の重い身体がじれったいくらいアクティブでした。でも感情はいつも幽体離脱しているみたいで、なんとも言い表しようがなく、それゆえ初期のブログにはほとんど事実の報告しか見られません。

 最近のブログには遊び心が見られますが、決してふざけているわけではなく、それだけ心に余裕が生まれ、感情を外に表せるほどにいっくんの生存に確信が持てるようになったからであります。

 あれは忘れもしない、最初の緊急手術。突然家に電話がかかってきて、今からすぐ来て下さいと。駆けつけた私が見たものは、臨月の妊婦さんの様にパンパンの異常なお腹の赤ちゃんでした。日付が変わって一応手術は成功したと言われても、ボーッとしたまま帰宅

 そして翌日、始まりました。幻聴です。家の電話が何回も鳴るんです…鳴ってないのに、何回も。一回本当に電話がかかってきて、心臓が飛び出したかと思いました。意を決して受話器を取ると…布団クリーニングのセールス。『ああ、良かった
本当にセールスでありがとう
お仕事頑張って下さい
』きっと相手のセールスマンはなんのこっちゃ
だったと思いますが、なんだか病院からの電話じゃなかったことで胸が一杯でした。

 そしてその晩、真夜中過ぎ、電話が鳴って恐る恐る出ると、『〇〇病院です。…残念ながら先ほどいっくんは…』
うそだ

う、う、うそだ、これは夢なんだ、夢だと言って

《後編に続く》



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